2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。
なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。
これは、選択問題「森林資源科学」の問題です。
問題
【No. 25】 我が国の森林に生息する野生ほ乳類に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- ニホンザルは我が国の固有種で,常緑広葉樹林,落葉広葉樹林に広く生息している。なお,九州以南に生息するサルは別種である。昼行性で,食性は雑食である。生態の主な特徴は,東北地方の多雪地に生息するニホンザルは冬眠をすることである。
- ニホンリスは我が国の固有種で,平野部から亜高山帯までの森林に広く生息する。しかし,西日本の幾つかの地域では,環境省のレッドリストにおいて絶滅のおそれのある地域個体群に指定されている。昼行性で,主に樹上で活動する。食性は雑食で,種子,昆虫など様々なものを採食する。
- イノシシは北半球に広く分布している。我が国のイノシシはその1亜種であり,積雪に対して耐性を有し,東北地方にも広く生息する。森林やその周辺環境を主な生息地とする。食性は雑食で,反芻胃を持つ。通常,年に1回,複数頭を出産する。
- ムササビは北半球の森林帯に広く分布している。夜行性で,樹上で活動し,巣は樹洞などを利用する。食性は動物食で,主に昆虫や鳥類を襲って採食する。生態の主な特徴は,雌のみが排他的ななわばりを持つことである。
- タイワンリス(クリハラリス)は東南アジアから東アジアが原産地であり,夜行性で,樹上で活動する。食性は植物食で,樹木の葉,果実,種子を採食する。我が国では特定外来生物に指定されており,在来種との交雑が懸念されている。また,現在のところ農林業被害については報告されていない。
解説
①の文章ですが、
ニホンザルは本州、四国、九州および周辺の島嶼、屋久島等に分布しています。
また、冬眠はしません。
よって、間違った文章です。
②は妥当な文章です。
③の文章ですが、
ニホンイノシシは東北地方にも分布するが、足が短く雪は苦手です。
また、反芻胃は持ちません。
よって、間違った文章です。
④の文章ですが、
ムササビのメスは1ヘクタール程度の同性間のなわばりをもつ。オスは2ヘクタール程度の行動圏をもつが、特になわばりをもたず、同性同士の行動圏は互いに重なり合っています。
また、食性は動物食でケヤキやカエデなどの若葉、種子、ドングリ、カキの果実、芽、ツバキの花、樹皮など、季節に応じてさまざまな樹上の食物を食べます。
よって、間違った文章です。
⑤の文章ですが、
タイワンリスは、植林したスギやヒノキの樹皮を食害したり、農園の果樹や農作物を食害したりするなど、農林業被害が報告されています。
よって、間違った文章です。
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