国家公務員試験(総合職・大卒)

【過去問解説】2019年国家公務員採用総合職試験(大卒)森林・自然環境(多肢選択式)試験問題【No.23】

2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。

問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。

なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。

これは、選択問題「森林資源科学」の問題です。

タップできる目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

【No. 23】 我が国の森林資源に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」によるものとし,世界の森林率については「世界森林資源評価 2015」(FAO)による。

  1. 我が国は,国土面積約3,800万haのうち森林面積が約2,500万haと国土の約3分の2を森林が占め,森林率はOECD加盟国の中では,世界第5位である。森林のうち約4割に相当する約1,000万haが天然林等,約6割に相当する約1,500万haが人工林となっている。
  2. 我が国の人工林については,2020年においても10齢級以下の人工林が約7割を占めると見込まれるなど,主伐・再造林を積極的に行う状況になく,引き続き間伐などの保育作業を適切に行うことが大きな課題となっている。
  3. 我が国の森林の蓄積は2012年3月末時点で約49億m3となっており,このうち天然林が約30億m3と約6割を占めている。第二次世界大戦後の荒廃森林への復旧造林や高度経済成長期における拡大造林により,森林全体の蓄積量は1966年以降の約50年間で約10倍,人工林では約20倍に増加している。
  4. 2016年に策定された森林・林業基本計画では,我が国の森林を,育成のための人為の程度,森林の階層構造に着目し,育成単層林,育成複層林,天然生林に区分し,期待する機能の発揮に向けた森林への誘導の考え方を示している。育成単層林とは,森林を構成する林木を皆伐により伐採し,単一の樹冠層を構成する森林として人為により成立させ維持される森林とされている。
  5. 2016年に策定された森林・林業基本計画においては50年後の目標とする森林の状態として,育成単層林,天然生林共に2015年より面積を増加させること,育成複層林については面積を減少させることとしている。

* Global Forest Resources Assessment 2015

解説

①の文章ですが、

我が国は、国土面積3,780万haのうち森林面積が2,508万haと約3分の2を森林が占める世界有数の森林国(*1)である。森林のうち約6割に相当する1,479万haが天然林等、約4割に相当する1,029万haが人工林となっている(資料 I -1)。

(*1)FAO(国際連合食糧農業機関)のGlobal Forest Resources Assessment 2015(世界森林資源評価2015)によると、2015年の世界の森林率は30.6%であり、我が国の森林率はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中では、フィンランド(73.1%)に次いで高い。世界の森林面積については、第 II 章(70-71ページ)を参照。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

②の文章ですが、

さらに、人工林の半数以上が、一般的な主伐期である10齢級以上と本格的な利用期を迎えており、2020年時点には、10齢級以上の主伐期を迎える人工林は約7割と見込まれる(*3)など、森林資源はかつてないほどに充実している。

我が国ではこれまで、育成段階にある人工林について間伐等の保育作業を適切に実施することが大きな課題であったが、資源構成の推移を踏まえれば、今後は、主伐と主伐後の再造林により人工林資源の循環利用を計画的に実施していく段階に入っている(*7)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

③の文章ですが、

森林の蓄積は平成24(2012)年3月末現在で約49億m3となり、このうち人工林が約30億m3と約6割を占めている。森林全体の蓄積量はこの半世紀で約2.6倍になっており、特に人工林では約5.4倍にも達している(*2)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

④は妥当な文章です。

⑤の文章ですが、

「森林・林業基本計画」においても、急傾斜の森林又は林地生産力の低い森林については、広葉樹の導入等により針広混交の育成複層林等に誘導することとしており、そうした森林は370万haに上る(*57)とされている。

(*57)森林・林業基本計画における平成27(2015)年の育成単層林の面積は1,030万haであり、うち350万haが育成複層林に、20万haが天然生林に誘導される森林となっている。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

正答番号

4

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