国家公務員試験(総合職・大卒)

【過去問解説】2019年国家公務員採用総合職試験(大卒)森林・自然環境(多肢選択式)試験問題【No.35】

2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。

問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。

なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。

これは、選択問題「森林生物生産科学」の問題です。

タップできる目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

【No. 35】 我が国の森林経営に関する記述として最も妥当なのはどれか。

  1. 2015年調査*1によれば,保有山林面積が10ha以上の林家*2は,全林家数の約1割だが,林家による保有山林面積の約6割を保有している。特に,100ha以上の大規模な林家は,全林家数の1%未満だが,林家による保有山林面積の約2割を保有している。
  2. 2015年調査によれば,林業経営体*3の数は,2010年調査*4に比べ約1割増加の約15万経営体であり,保有山林面積の合計も増加している。このうち, 1世帯(雇用者の有無を問わない)で事業を行う家族経営体の数は約4.5万経営体で,林業経営体の約3割を占めている。
  3. 2015年調査によれば,家族経営体のうち,過去5年間に保有山林において植林,下刈り,間伐,主伐などの何らかの林業作業を行った経営体の割合は,全体の約5割であった。作業別の実施割合をみると,主伐実施の割合は,下刈り実施の割合や間伐実施の割合よりも高かった。
  4. 2015年調査によれば,林業作業の受託のうち植林及び下刈り等については,森林組合が全国の受託面積の9割以上を占め,森林整備の中心的な担い手となっている。主伐については,民間事業体が9割以上を占め,間伐については,これまで森林組合が5割以上を受託していたが, 2015年調査では,民間事業体が約6割となり,森林組合を逆転した。
  5. 2015年調査によれば,調査期間*5の1年間に素材生産を行った林業経営体は,全体の約1%に当たる約1,500経営体となっており,2010年調査に比べ約1割増加した。一方,林業経営体全体の素材生産量は減少しており,特に,素材生産量が 10,000 m3以上となる規模の大きな林業経営体の生産量の減少が著しい。

*1 2015年農林業センサスを指す。
*2 保有山林面積が1ha以上の世帯
*3 ①保有山林面積が3ha以上かつ過去5年間に林業作業を行うか森林経営計画又は森林施業計画を作成している,②委託を受けて育林を行っている,③委託や立木の購入により過去1年間に200m3以上の素材生産を行っている,のいずれかに該当する者。
*4 2010年世界農林業センサスを指す。
*5 2014年2月から2015年1月

解説

①は妥当な文章です。

平成29年度森林・林業白書より

②の文章ですが、

林業経営体の数は、前回比で38%減の約8.7万経営体、保有山林面積の合計は前回比で16%減の約437万haとなっている(資料 III -7)。このうち、1世帯(雇用者の有無を問わない。)で事業を行う「家族経営体(*6)」の数は約7.8万経営体で、林業経営体の9割を占めている(資料 III -8)。保有山林面積規模別にみると、保有山林面積が10ha未満の林業経営体が56%を占めている一方で、保有山林面積が100ha以上の林業経営体は、全林業経営体数の4%にすぎないものの、林業経営体による保有山林面積全体の76%に当たる331万haを保有している(資料 III -7)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって間違った文章です。

③の文章ですが、

「2015年農林業センサス」によると、家族経営体のうち、過去5年間に保有山林において植林、下刈り、間伐、主伐等の何らかの林業作業を行った者は、全体の84%であった。作業別の実施割合をみると、下刈りを実施した者、間伐を実施した者はそれぞれ5割前後である一方、主伐を実施した者は8%、植林を実施した者は14%であった(資料 III -14)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって間違った文章です。

④の文章ですが、

「2015年農林業センサス」によると、林業経営体が期間を定めて一連の作業・管理を一括して任されている山林の面積は98万haであり、その約9割を森林組合又は民間事業体が担っている(*7)。

また、林業作業の受託のうち植林、下刈り等及び間伐については、森林組合が全国の受託面積の56%を占めており、保育等の森林整備の中心的な担い手となっている。主伐については、民間事業体が55%を占めており、素材生産の中心的な担い手となっている(資料 III -9)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって間違った文章です。

⑤の文章ですが、

「2015年農林業センサス」によると、調査期間(*8)の1年間に素材生産を行った林業経営体は、全体の約12%に当たる10,490経営体(前回比19%減)となっている。林業経営体数が減少した一方で、素材生産量の合計は増加し、1,989万m3(前回比27%増)となっている。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

1林業経営体当たりの素材生産量についても大幅に増加し、4,188m3(前回比30%増)となっており、林業経営体の規模拡大が進んでいる傾向にある。

一方で、年間素材生産量が1,000m3未満の林業経営体は、前回調査から減少しているものの全体の46%を占めており、素材生産規模の小さい林業経営体が多い状況にある(資料 III -11)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって間違った文章です。

正答番号

1

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