国家公務員試験(一般職・大卒)

【過去問解説】2019年国家公務員採用一般職試験(大卒)林学(多肢選択式)試験問題【No.35】

2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。

問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。

これは、40題のうちの35問目の問題です。

タップできる目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

【No. 35】 我が国の木材利用の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」による。

  1. 我が国の木造住宅の主要な工法には,枠組壁工法(ツーバイフォー工法),木質プレハブ工法,在来工法がある。平成28年の工法別のシェアは,ツーバイフォー工法が約50%,木質プレハブ工法が約30%,在来工法が約20%となっている。
  2. 非住宅分野の建築物への木材利用の拡大などに向け,品質・性能の確かな木材が求められている。我が国では,日本農林規格(JAS)において,製材などの規格が定められており,平成28年には全国の約7割の製材工場がJAS制度の認証を受けている。一方,CLT(直交集成板)のJAS規格は,平成28年度末現在,定められていない。
  3. 平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され,同法に基づき市町村が「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」を策定し,木材利用の方針を明確化した。このため,平成28年度に着工された公共建築物の木造率(床面積ベース)は約5割となっている。
  4. 現行の「森林・林業基本計画」では,木質バイオマスのエネルギー利用に向けて,カスケード利用を基本としつつ,木質バイオマス発電施設における間伐材・林地残材等の利用を推進していくこととしている。主に間伐材等由来のバイオマスを活用した発電施設については,平成28年度末で30か所以上の施設が,「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」により売電を行っている。
  5. 我が国では,海外での違法伐採への対策として,平成29年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が施行された。同法では,事業者は,国産材以外の輸入材の合法性の確認を行うこととなっている。

* 木材を建材などの資材として利用した後,ボードや紙などの利用を経て,最終段階では燃料として利用すること。

解説

①の文章ですが、

我が国における木造住宅の主要な工法としては、「在来工法(木造軸組構法)」、「ツーバイフォー工法(枠組壁工法)」及び「木質プレハブ工法」の3つが挙げられる(*183)。平成28(2016)年における工法別のシェアは、在来工法が75%、ツーバイフォー工法が23%、木質プレハブ工法が3%となっている(*184)。在来工法による木造戸建て注文住宅については、半数以上が年間供給戸数50戸未満の中小の大工・工務店により供給されたものであり(*185)、中小の大工・工務店が木造住宅の建築に大きな役割を果たしている。

平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

②の文章ですが、

木材の品質については、「日本農林規格等に関する法律」(JAS法)に基づく「日本農林規格(JAS(ジャス))」として、製材、集成材、合板、フローリング、CLT(直交集成板)等の9品目(*89)の規格が定められている。JAS制度では、登録認証機関(*90)から製造施設や品質管理及び製品検査の体制等が十分であると認証された者(認証事業者)が、自らの製品にJASマークを付けることができるとされている(*91)。

製材の新たな需要先として期待される非住宅分野等の大規模な建築物においては、設計時に厳密な構造計算が求められることから、品質・性能の確かなJAS製品を用いることになる。住宅の品質・性能に対する消費者ニーズの高まりに応えるとともに、このような非住宅分野等への木材利用の拡大を図るためにも、JAS製品の供給体制の整備を着実に進めていくことが必要となる(事例 IV -2)。しかしながら、JAS制度に基づく認証を取得した事業者の割合は、合板工場では7割を超えているものの、製材工場では1割程度にすぎず、JAS製材品の供給体制は十分とはいえない(*92)。

平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

③の文章ですが、

平成22(2010)年10月に、木造率が低く潜在的な需要が期待できる公共建築物に重点を置いて木材利用を促進するため、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(*201)」が施行された。同法では、国が「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」を策定して、木材の利用を進める方向性を明確化する(*202)とともに、地方公共団体や民間事業者等に対して、国の方針に即した取組を促す(*203)こととしている。

平成29年度森林・林業白書より

国、都道府県及び市町村が着工した木造の建築物は、平成28(2016)年度には2,789件であった。このうち、市町村によるものが2,235件と約8割となっている(*206)。同年度に着工された公共建築物の木造率(床面積ベース)は、前年度と同程度の11.7%となった。また、「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」により、積極的に木造化を促進することとされている低層(3階建て以下)の公共建築物においては、木造率は前年比0.4ポイント上昇の26.4%であった(*207)(資料 IV -43)。さらに、都道府県ごとの木造率については、低層で5割を超える県がある一方、都市部では低位など、ばらつきがある状況となっている(資料 IV -44)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

④は妥当な文章です。

⑤の文章ですが、

平成18(2006)年2月に「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(グリーン購入法基本方針)」において、紙類、オフィス家具、公共工事資材等の分野において、合法性、持続可能性が証明された木質材料を原料として使用しているものを政府調達の対象とした。

その後、「グリーン購入法基本方針」の特定調達品目に関する「品目及び判断の基準等」が見直され、間伐材や森林認証を受けた森林から生産された木材及び竹から製造されるパルプを用いたコピー用紙等、間伐材や合法性が証明された木質原料等を使用している合板型枠(かたわく)等が政府調達の対象となった。

林野庁では、木材・木材製品の供給者が合法性及び持続可能性を適切に証明できるよう、平成18(2006)年2月に「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成した。本ガイドラインでは、具体的な合法性、持続可能性の証明方法として、「森林認証制度及びCoC認証制度を活用した証明方法」、「森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法」及び「個別企業等の独自の取組による証明方法」の3つの証明方法を提示するとともに、合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品が、これらが証明されていないものと混じらないよう管理することを求めている。

平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

正答番号

4

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