国家公務員試験(総合職・大卒)

【過去問解説】2019年国家公務員採用総合職試験(大卒)森林・自然環境(多肢選択式)試験問題【No.18】

2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。

問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。

なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。

これは、選択問題「森林環境科学」の問題です。

タップできる目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

【No. 18】 我が国の森林組合に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」による。

  1. 現在の森林組合は,森林法に基づく森林所有者の協同組織で,組合員である森林所有者に対する経営指導,森林施業の受託,林産物の生産,販売,加工などを行っている。森林所有者は,森林を所有する地域に森林組合が設立された場合は,必ず加入しなければならず,2015年度末現在,全国の組合員数は約250万人(法人含む。)となっている。
  2. 森林組合の主な事業を部門ごとにみると,組合員への指導を行う指導部門,木材の生産を行う林産事業を含む森林整備部門,木材の販売を行う販売部門,木材の加工を行う加工部門などがあり,2015年度の部門別の事業取扱高をみると加工部門が最も多く,全体の5割以上を占めている。
  3. 森林組合が実施する事業のうち,新植や保育の事業量は,長期的に減少傾向で推移している。これに対して,素材生産の事業量は,2002年度を底に増加傾向にあり,2015年度の素材生産量は前年比1割増で500 万㎥を超えた。2015年度の素材生産量の内訳については,間伐によるものが約6割を占め,主伐によるものが約4割となっている。
  4. 森林組合の雇用労働者の年間就業日数をみると,年間210日以上の者の割合は,1985年度には全体の6割程度であったが,山村人口の減少や林業の低迷に伴い,通年で働く専業的な雇用労働者は減少する傾向にあり,2015年度になると年間210日以上の者の割合は2割程度に減少した。また,森林組合が支払う標準的賃金(日額)の水準は全体的に下降する傾向にある。
  5. 森林組合に作業を依頼した実績を依頼者別にみると,新植及び保育の依頼者別面積割合では地方公共団体からの依頼が最も大きく,続いて公社等*からの依頼であり,両者を合わせると6割を超えている。また,素材生産の依頼者別数量割合では,国からの依頼が約4割を占め,最も大きい。

* 公社等には国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センターを含む。

解説

①の文章ですが、

森林組合は、「森林組合法(*19)」に基づく森林所有者の協同組織で、組合員である森林所有者に対する経営指導、森林施業の受託、林産物の生産、販売、加工等を行っている(資料 III -16)。

森林組合の数は、最も多かった昭和29(1954)年度には5,289あったが、経営基盤を強化する観点から合併が進められ、平成27(2015)年度末には629となっている。また、全国の組合員数は、平成27(2015)年度末現在で約153万人(法人含む。)となっており、組合員が所有する私有林面積は約932万ha(*20)で、私有林面積全体の約3分の2を占めている(*21)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

②の文章ですが、

上図、【資料Ⅲ-16】を見ると、加工部門の取扱高は13%であり、最も割合が高いのは森林整備部門で、5割以上を占めていることがわかります。

よって、間違った文章です。

③は妥当な文章です。

森林組合が実施する事業のうち、新植や保育の事業量は、長期的には減少傾向で推移している。これに対して、素材生産の事業量は、平成14(2002)年度を底に増加傾向にあり、平成27(2015)年度の素材生産量は前年比10%増の543万m3となった。素材生産量の内訳については、間伐によるものが314万m3で約6割を占め、主伐によるものは229万m3で約4割となっている(資料 III -17)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

④の文章ですが、

しかしながら、近年は、全国的に把握が可能な森林組合についてみると、通年で働く専業的な雇用労働者の占める割合が上昇傾向にある。森林組合の雇用労働者の年間就業日数をみると、年間210日以上の者の割合は、昭和60(1985)年度には全体の1割に満たなかったが、平成27(2015)年度には約6割になっている(資料 III -27)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

なお、森林組合が支払う標準的賃金(日額)についてみると、支払われる賃金の水準は全体的に上昇している(資料 III -30)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

⑤の文章ですが、

新植及び保育の依頼者別面積割合は、約6割が組合員を含む個人等であり、公社等と地方公共団体が4割弱を占めている。また、素材生産量のうち、84%が組合員を含む私有林からの出材となっている(資料 III -18)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

正答番号

3

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