2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。
なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。
これは、選択問題「森林生物生産科学」の問題です。
問題
【No. 32】 我が国の主要な造林樹種の特性に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- スギは,我が国固有の樹種であり,北海道から鹿児島県の屋久島まで天然分布している。挿し木での育苗が容易で,林業品種も多い。浅根性であり,水分・養分に対する要求度が低く,尾根筋などの比較的乾燥した土地でよく生育する。
- ヒノキは,我が国固有の樹種であり,福島県から鹿児島県の屋久島まで天然分布している。乾性型の土壌やポドゾルなどでも,旺盛な成長を示す。深根性であり,スギに比べて成長は遅いものの,積雪に耐えて生育するため,多雪地における造林樹種として使用される。
- アカマツは,我が国の暖温帯から冷温帯にかけて広く分布している。陽樹であり,被圧されると枯死しやすい。浅根性であり,砂地や岩石地などでも育ち,強い乾燥にも耐えることができる。また,潮水や潮風に対する耐性は,クロマツよりも強い。
- トドマツは,北海道のほぼ全域及び本州の亜高山帯に分布する。地表面よりも倒木や枯れた株上で多くの実生・稚樹が生育する倒木更新を行うことで知られ,稚樹の耐陰性はかなり低い。深根性であり,水分・養分に対する要求度が低く,乾燥した痩せた土壌でよく生育する。
- カラマツは,我が国固有の樹種であり,本州の亜高山帯,冷温帯に天然分布している。代表的な陽樹で,地すべり跡地のような新しく形成された裸地にも先駆種として侵入し成林する。浅根性であり,乾燥や寒さに耐えて生育するため,寒冷地における造林樹種として使用される。
解説
樹種 | 分布 | 成育特性 | 特徴と用途 |
スギ | 本州・四国・九州の冷温帯・暖温帯。 | やや陽性。適潤・肥沃地を好むが、適応は広い。挿し木の林業品種も多い。 | 常緑高木。深根性。日本海側と太平洋側の系統に大別。用材などで広く利用。 |
ヒノキ | 福島県以南の冷温帯・暖温帯。 | 耐陰性大で、一斉林では林床が暗くなりやすい。乾燥・酸性土壌に耐える。 | 常緑高木。浅根性。鱗片葉で落葉が細片化しやすい。用材などで広く利用。 |
アカマツ | 北海道南部以南の冷温帯・暖温帯。 | 極陽性。せき悪・乾燥の尾根、貧栄養の湿地に耐える。 | 常緑高木。深根性。冬芽は赤褐色、建築、土木、パルプ用材、庭園樹。 |
トドマツ | 北海道の石狩・日高以北の亜寒帯。 | 耐陰性大。適潤な肥沃地を好む。北海道の重要樹種。 | 常緑高木。深根性。梱包、建築、土木、パルプ用材。 |
カラマツ | 本州の亜高山帯。冷温帯。火山池の先駆樹種。 | 極陽性。高標高、寒冷、せき悪地に耐えるが、嫌気的土壌条件では成長がわるい。 | 落葉高木。浅根性。葉は短枝に束生。土木、建築、坑木などに用い、耐久性が大。 |
また、潮水や潮風に対する耐性は,アカマツよりもクロマツの方が強いです。
よって⑤が妥当な文章です。
正答番号
5