国家公務員試験(総合職・大卒)

【過去問解説】2019年国家公務員採用総合職試験(大卒)森林・自然環境(多肢選択式)試験問題【No.12】

2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。

問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。

なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。

これは、必須問題13題のうちの12問目の問題です。

タップできる目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

【No. 12】 我が国の木材の需給動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」による。

  1. 昭和30(1955)年以降の我が国の人口 1 人当たりの木材需要量の推移をみると,高度経済成長期の経済発展により増加を続け,昭和39(1964)年には東京オリンピックを契機に過去最高となったが,その後は減少傾向で推移し,平成23年には東日本大震災の影響により過去最低となった。
  2. 平成28年にパルプ生産に利用された約2,900万㎥ の木材チップのうち,国産チップについては針葉樹チップより広葉樹チップの利用量の方が多く,輸入チップについては広葉樹チップより針葉樹チップの利用量の方が多くなっている。
  3. 我が国における国産材供給量は,人工林資源の充実やパルプ原料としてのスギなどの国産材利用の増加,木質バイオマス発電施設での利用の増加などを背景に,リーマンショックの影響を受けた平成21年の約1,700万㎥を底として増加傾向にある。
  4. 我が国の国別丸太輸入量を平成18年と平成28年で比較すると,平成28年には,ロシアからの輸入量は同国の丸太輸出税の引下げにより増加した一方で,主要丸太輸入先国であった米国,カナダ,オーストラリアからの輸入量は減少している。
  5. 我が国の木材自給率は,人工林資源の充実や技術革新による合板原料としての国産材利用の増加などを背景に,平成15年以降は上昇傾向にある。平成28年の用途別木材自給率は高い方から順に,燃料材,製材用材,合板用材,パルプ・チップ用材となっている。

解説

①の文章ですが、

我が国の木材需要量(*28)の推移をみると、戦後の復興期と高度経済成長期の経済発展により増加を続け、昭和48(1973)年に過去最高の1億2,102万m3(丸太換算値。以下同じ。)を記録した。その後、昭和48(1973)年秋の第1次石油危機(オイルショック)、昭和54(1979)年の第2次石油危機等の影響により減少と増加を繰り返し、昭和62(1987)年以降は1億m3程度で推移した。

しかしながら、平成3(1991)年のバブル景気崩壊後の景気後退等により、平成8(1996)年以降は減少傾向となった。特に、平成21(2009)年にはリーマンショック(*29)の影響により、前年比19%減の6,480万m3と大幅に減少したが、近年は平成20(2008)年の水準を上回るまでに回復している。

平成30年度森林・林業白書より
平成30年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

②の文章ですが、

平成28(2016)年にパルプ生産に利用された木材チップ(*36)は2,876万m3で、このうち898万m3(31%)が国産チップ(輸入材の残材・廃材や輸入丸太から製造されるチップを含む。)、1,977万m3(69%)が輸入チップであった。樹種別にみると、針葉樹チップが1,033万m3(36%)、広葉樹チップが1,843万m3(64%)となっている。国産チップの割合は、針葉樹チップで比較的高くなっている一方、広葉樹チップで低くなっている(資料 IV -8)

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

③の文章ですが、

我が国における国産材供給量(*37)は、森林資源の充実や合板原料としてのスギ等の国産材利用の増加、木質バイオマス発電施設での利用の増加等を背景に、平成14(2002)年の1,692万m3を底として増加傾向にある。平成28(2016)年の国産材供給量は、前年比8.9%増の2,714万m3であった(資料 IV -9)。用材部門では、前年比2.6%増の2,236万m3となっており、その内訳を用途別にみると、製材用材は1,218万m3、合板用材は388万m3、パルプ・チップ用材は527万m3となっている。また、燃料用チップを含む燃料材は前年比59%増の446万m3となり、大幅な増加が続いている(*38)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

④の文章ですが、

我が国の輸入品目別の木材輸入量について、平成18(2006)年と平成28(2016)年を比較すると、丸太については、総輸入量は1,058万m3から365万m3へと大幅に減少している。特に、ロシアからの輸入量は、同国の丸太輸出税の大幅引上げにより、497万m3から16万m3へと急減している。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

⑤の文章ですが、

我が国の木材自給率は、昭和30年代以降、国産材供給の減少と木材輸入の増加により低下を続け、平成7(1995)年以降は20%前後で推移し、平成14(2002)年には過去最低の18.8%(用材部門では18.2%)となった。その後、人工林資源の充実や、技術革新による合板原料としての国産材利用の増加等を背景に、国産材の供給量が増加傾向で推移したのに対して、木材の輸入量は大きく減少したことから、木材自給率は上昇傾向で推移している。平成28(2016)年は、新設住宅着工戸数の増加等から総需要量が増加する中で、円高方向への推移等による調達コストの低下等もあり輸入量が増加するとともに、国産材供給量も増加した結果、木材自給率は前年より1.6ポイント上昇して34.8%(用材部門では31.1%)となり、6年連続で上昇した(資料 IV -9)。木材自給率を用途別にみると、製材用材は46.6%、合板用材は37.8%、パルプ・チップ用材は16.7%、燃料材は76.8%となっている(資料 IV -12)。

平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より
平成29年度森林・林業白書より

よって、妥当な文章です。

正答番号

5

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