国家公務員試験(総合職・大卒)

【過去問解説】2019年国家公務員採用総合職試験(大卒)森林・自然環境(多肢選択式)試験問題【No.14】

2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。

問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。

なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。

これは、選択問題「森林環境科学」の問題です。

タップできる目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

【No. 14】 林野庁が推進する「新たな森林管理システム」に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」による。

  1. 森林経営管理法に基づき,市町村は,森林所有者に代わって森林の経営管理の責務を負うとともに,森林所有者から森林の所有権の移転を受け,林業経営に適した森林については意欲と能力のある林業経営者に管理を委託することとしている。
  2. 市町村が実施する森林整備などに必要な財源に充てるため,国民皆で森林を支える仕組みとして,森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設が「平成30年度税制改正の大綱」において取りまとめられ,2019 年度から課税が,2024年度から市町村などへの譲与が開始されることとされた。
  3. 自然的条件などから経済ベースで自立した林業経営を行うことが困難な人工林については,市町村の公的管理により適切な施業が実施されることが必要である。その際には,管理コストが小さくなるよう育成単層林などへ転換するほか,間伐を繰り返して積極的な整備を進めることが望ましい。
  4. 1,000ha以上の私有人工林を有する市町村にあっても,専ら林務を担当する職員が0人ないし1人の市町村が約4割を占めるなど,新たな森林管理システムの推進体制は十分とはいえない。このため,森林総合監理士(フォレスター)などの技術者について,地域林政アドバイザーとしての活用を進めることなどが必要である。
  5. 林業と木材関連産業には,川上に位置する森林所有者や川中に位置する原木市場,川下に位置する工務店など様々な主体が関わっており,各主体の間では完全な分業化がなされている。このため,川上から川下までの連携を進め,消費者のニーズを重視するプロダクトアウトの発想に基づくサプライチェーンの再構築の促進などの取組が必要である。

解説

①の文章ですが、

森林経営管理制度は、適切な経営管理が行われていない森林の経営管理を、林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行う仕組みです。
市町村が森林所有者に代わって森林の経営管理の責務を負ったり,森林所有者から森林の所有権の移転を受けるわけではありません。

よって、間違った文章です。

詳しくは、林野庁HPの「森林経営管理制度(森林経営管理法)」を参照してください

②の文章ですが、

「森林環境税」は、令和6(2024)年度から個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収することとされています。
また、「森林環境譲与税」は、喫緊の課題である森林整備に対応するため、「森林経営管理制度」の導入時期も踏まえ、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を原資に、令和元(2019)年度から譲与が開始され、市町村や都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口による客観的な基準で按分して譲与されているところです。

よって、間違った文章です。

詳しくは、林野庁HPの「森林環境税及び森林環境譲与税」を参照してください

③の文章ですが、

育成単層林や間伐を繰り返して積極的な整備を進める方法は、管理コストが大きく、自然的条件などから経済ベースで自立した林業経営を行うことが困難な人工林には向きません。

よって、間違った文章です。

④は妥当な文章です。

新たな森林管理システムの下では、市町村が意欲と能力のある林業経営者に森林の経営管理を委ね、又は市町村自らが森林管理を行うことになる。一方で、1,000ha以上の私有人工林を有する市町村にあっても、専ら林務を担当する職員が0~1人程度の市町村が約4割を占める(*80)など、施策を展開するための体制が十分でない市町村も多い。

市町村が主体となった森林の経営管理の集積・集約化及び公的管理の事務を進めるためには、こうした体制の整備が必要であることから、国や都道府県による支援や、「森林総合監理士(フォレスター)」等の技術者の「地域林政アドバイザー(*81)」としての活用のほか、近隣市町村と協議会を構成し、共同実施に向けた連携等を進めていくことが重要である。また、「地方自治法(*82)」では市町村の求めに応じて、都道府県が事務の代替執行を行うことができるようになっているが、さらに、都道府県の発意により、市町村の同意を条件として、都道府県による事務の代替執行を行うことができるようにすることも必要である。

平成29年度森林・林業白書より

⑤の文章ですが、

林業と木材関連産業には、様々な主体が関わっている。川上に位置する者としては、森林所有者や、実際の森林管理方針を策定して丸太生産や造林・保育といった施業を行う林業経営者が存在しており、それぞれの役割を重複して担う者が存在する一方で、森林の経営管理に関する方針を作成する者が不在である場合などがある。川中に位置する者としては、原木市場等の丸太の流通に関わる業者や、製材、単板・合板、チップ等の加工業者、製品市場・木材問屋等の木材製品の流通や需要者への販売に関わる業者、製材品等にプレカット加工を施すプレカット事業者等が存在している。川下に位置する者としては、工務店・住宅メーカー等の需要者が存在している。また、丸太から製品まで幅広い木材取引に関与する商社や、森林所有者でありながら川中の製材工場や工務店・住宅メーカーである者など、川上から川下に至る複数の立場を有している者も存在する。

平成29年度森林・林業白書より

よって、間違った文章です。

正答番号

4

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