2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの9問目の問題です。
問題
【No. 9】 我が国の林業労働力の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」による。
- 平成27年における林業従事者*1 数は約10万人である。林業従事者の平均年齢をみると,全産業の平均年齢と同様の水準にあるが,若者の新規就業の減少により,高齢化の傾向にある。
- 林業従事者の内訳をみると,近年,育林従事者は増加する一方,伐木・造材・集材従事者は減少している。育林従事者は,特に45歳から64歳の年齢層で増加している。
- 平成28年度に新たに林業に就業した者は約1万人である。しかし,「緑の雇用」事業における新規就業者に対する研修修了者のうち,3年後も就業している者は半数に満たず,新規就業者の定着が課題となっている。
- 林業労働者の雇用は,林業作業の季節性や事業主の経営基盤のぜい弱性などにより,必ずしも安定していないことが多い。しかし,近年は,森林組合についてみると,通年で働く専業的な雇用労働者の占める割合が上昇傾向にある。
- 林業における労働災害発生率は,平成28年の死傷年千人率*2 でみると,全産業平均と同様の水準となっている。平成26年から平成28年までの林業労働者の死亡災害についてみると,作業別では集材作業中の災害が最も多い。
* 1 林業従事者とは,就業している事業体の日本標準産業分類を問わず,林木,苗木,種子の育成,伐採,搬出,処分等の仕事及び製炭や製薪の仕事に従事する者で,国勢調査期間中の1週間に収入になる仕事を少しでもした者等をいう。
* 2 労働者1,000人当たりの1年間に発生する労働災害による死傷者数(休業4日以上)をいう。
解説
①の文章ですが、
林業労働力の動向を、現場業務に従事する者である「林業従事者」の数でみると、長期的に減少傾向で推移しており、平成27(2015)年には45,440人となっています。
また、林業従事者の平均年齢は平成27(2015)年には52.4歳となっており、全産業の平均年齢46.9歳と比べると高い水準にあります。
よって、間違った文章です。
②の文章ですが、
育林従事者は長期的に減少傾向で推移している一方で、伐木・造材・集材従事者は近年増加しています。
よって、間違った文章です。
③の文章ですが、
平成28年度に新たに林業に就業した者は約3千人です。
よって、間違った文章です。
④の文章は妥当な文章です。
⑤の文章ですが、
林業における労働災害発生率は、平成29(2017)年の死傷年千人率でみると32.9で、全産業平均の15.0倍となっており、全産業の中で最も高い状態が続いています。
また、作業別では伐木作業中の災害が71%となっており最も多いです。
よって、間違った文章です。
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