2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの34問目の問題です。
問題
【No. 34】 きのこに関する記述A~Dのうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
A.きのこは,菌類が無性生殖を行う際に形成される子実体である。大型のきのこを形成する菌類は,主に子のう菌亜門と担子菌亜門に属しており,しいたけ,えのきたけ,ひらたけなどは子のう菌である。
B.平成29年の我が国のしいたけの生産量は,乾しいたけよりも生しいたけの方が多い。しいたけの栽培方法には原木栽培と菌床栽培があるが,生しいたけでは菌床栽培が,乾しいたけでは原木栽培がそれぞれの生産量の約9割を占めている。
C.しいたけの原木栽培では,一般に,原木の伐採は夏に行い,乾燥させず生木に近い状態のまま種菌の植付けを行う。しいたけは多くの品種が開発されており,林業種苗法において品種登録制度を設け,しいたけを含むきのこの新品種育成者の権利の保護が図られている。
D.我が国の栽培きのこ類生産の産出額は,平成28年には林業産出額の約7割を占めている。また,平成28年の我が国のきのこ類の生産額の内訳をみると,生しいたけが最も多く,えのきたけ,エリンギの順でこれに続き,これら三つで,きのこ類の生産額の約3分の2を占めている。
- A
- B
- C
- A,D
- B,C,D
解説
Aの文章ですが、
しいたけ,えのきたけ,ひらたけは担子菌です。
よって、間違った文章です。
Bは妥当な文章です。
Cの文章ですが、
シイタケ:乾シイタケには日本ではQeurcus属が主に使われる。紅葉した葉が残る11月ごろに伐採し、約2ヶ月乾燥させて、植菌する。
森林・林業実務必携より
生シイタケは原木と菌床で栽培される。原木では乾シイタケと同様なほだ木化も可能だが、ナラ類を晩春に伐採し、60〜90個の多数の種菌を接種し、半年後から発生させ、1年間6〜7回収穫する集約的な方法が一般的になってきた。
よって、間違った文章です。
Dの文章ですが、
林業産出額は、国内における林業生産活動によって生み出される木材、栽培きのこ類、薪炭等の生産額の合計である。我が国の林業産出額は、平成16(2004)年以降は4,000億円、平成26(2014)年以降は4,500億円程度で推移しており、平成28(2016)年は、前年比3%増の4,662億円と、平成14(2002)年以降で最も高い水準となった。
これに対して、栽培きのこ類生産の産出額は、昭和58(1983)年以降、2,000億円程度で推移しており、平成28(2016)年は前年比5%増の2,220億円となっている(資料 III -1)。
平成29年度森林・林業白書より
平成28(2016)年のきのこ類の生産額の内訳をみると、生しいたけが733億円で最も多く、次いでぶなしめじが487億円、まいたけが350億円の順となっている(*81)。
平成29年度森林・林業白書より
よって、間違った文章です。
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