2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの27問目の問題です。
問題
【No. 27】 我が国における林業機械の導入状況に関する記述として最も妥当なのはどれか。ただし,機械の保有台数については,国有林野事業で所有するものを除く。
- 我が国における高性能林業機械の保有台数は,平成28年度に初めて5,000台を超えた。これらの高性能林業機械の稼働率は8割を超えており,素材生産量全体のうち,高性能林業機械を活用した作業システムによる素材生産量の割合も約7割となっている。
- 刈払機は,地拵え作業や下刈り作業に用いられる。下刈り作業の労働負荷低減のため,クローラ式の走行装置に刈払装置が付いた刈払機が普及しており,一般にリモコンで操作され,労働安全の確保にも効果を上げている。
- フェラーバンチャは,林道や土場などで,全木集材されてきた材の枝払い,測尺,玉切りを連続して行う自走式機械であり,近畿地方以西で導入が進んでいる。
- フォワーダは,スキッダと同様に集材用の自走式機械である。主に短幹材の集材に用いられる。平成28年度の我が国における保有台数は約2,300台で,高性能林業機械の中で最も多く保有されている。
- タワーヤーダは,走行装置に集材機を搭載した機械であり,作業中にタワーを旋回・昇起させることができる。我が国では,スイングヤーダより保有台数が多く,平成28年度において1,000台を超えている。
解説
①の文章ですが、
我が国における高性能林業機械の導入は、昭和60年代に始まり、近年では、路網を前提とする車両系のフォワーダ(*52)、プロセッサ(*53)、ハーベスタ(*54)等を中心に増加しており、平成28(2016)年度は、合計で前年比7%増の8,202台が保有されている。保有台数の内訳をみると、フォワーダが2,328台で3割弱を占めているほか、プロセッサが1,851台、プロセッサと同様に造材作業に使用されることの多いハーベスタは1,572台となっており、両者を合わせて4割強を占めている。このほか、スイングヤーダ(*55)が1,012台で1割強を占めている(資料 III -23)。平成28(2016)年度において、素材生産量全体のうち、高性能林業機械を活用した作業システムによる素材生産量の割合は7割となっている(*56)。
平成29年度森林・林業白書より
よって、間違った文章です。
②の文章ですが、
刈払機は地拵え作業や下刈り作業に用いられる機械ですが、リモコン操作可能なクローラ式の走行装置に刈払装置が付いた刈払機は普及しているとは言えません。
よって、間違った文章です。
③の文章ですが、
フェラーバンチャは立木を伐採(フェリング)し、切った木をそのまま掴んで集材に便利な場所へ集積(バンチング)する自走式機械で、チェンソーに代わり、最も危険な伐倒作業を担います。
枝払いや玉切りは行いません。(立木の伐倒、枝払い、玉切りの各作業と玉切りした材の集積作業を一貫して行う自走式機械はハーベスタです)
よって、間違った文章です。
④は妥当な文章です。
⑤の文章ですが、
タワーヤーダは簡便に架線集材できる人工支柱を装備した移動可能な集材機で、急傾斜地での作業に向いています。
保有台数はスイングヤーダより少なく、平成28年度のスイングヤーダの保有台数が1,000台を超えているのに対して、151台となっています。
よって、間違った文章です。
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