2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの2問目の問題です。
問題
森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)などに関する記述として最も妥当なのはどれか。なお,森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の名称については,「平成30年度税制改正の大綱」による。
- 2012年に「地球温暖化対策のための税*」が導入され,森林吸収源対策が同税の使途に含まれた。その後,地球温暖化防止の新たな国際的枠組みである「名古屋議定書」の採択,山地災害の激甚化による国民の森林への期待の高まりなどを受け,森林環境税(仮称)などが創設されることとなった。
- 「平成30年度税制改正の大綱」では,平成31(2019)年度の税制改正において森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設することが決定された。森林環境税(仮称)は地方税とされ,課税は2019年度から,森林環境譲与税(仮称)の譲与は2024年度から行うこととされている。
- 森林環境税(仮称)は,市町村が固定資産税と併せて徴収することとされ,その税率は,固定資産(土地,家屋など)の所有者一人当たり年額5万円とされている。
- 森林環境譲与税(仮称)は,森林環境税(仮称)で徴収した収入相当額の全額を都道府県に譲与するもので,その使途は,都道府県が行う間伐や人材育成,木材利用の促進などの森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされている。
- 森林環境税(仮称)や森林環境譲与税(仮称)とは別に,地方公共団体が住民税の超過課税として,森林整備などを目的とした独自の税を徴収する取組がみられ,2016年度末までに35以上の府県において行われている。
* 石油石炭税の税率の特例
解説
①の文章ですが、
2012年に導入された「地球温暖化対策のための税」には,森林吸収源対策は使途に含まれていません。
なので、「2012年に「地球温暖化対策のための税*」が導入され,森林吸収源対策が同税の使途に含まれた」の部分が間違いです。
②の文章ですが、
森林環境税は地方税ではなく国税です。
また、課税は令和6(2024)年度から、森林環境譲与税の譲与は、農令和元(2019)年度から行うこととしています。
なので、「森林環境税(仮称)は地方税とされ,課税は2019年度から,森林環境譲与税(仮称)の譲与は2024年度から行うこととされている」の部分が間違いです。
③の文章ですが、
「森林環境税」は、個人住民税均等割の枠組みを用いて、1人年額1,000円を市町村が賦課徴収することとされています。
なので、「固定資産税と併せて徴収することとされ,その税率は,固定資産(土地,家屋など)の所有者一人当たり年額5万円とされている」の部分が間違いです。
④の文章ですが、
森林環境譲与税(仮称)は,都道府県にも譲与されますが、基本的には市町村に譲与するものです。
また、令和6(2024)年度からの課税に先行して譲与するための原資は、交付税及び譲与税配付金特別会計からの借入れにより対応し、後年度の森林環境税の税収の一部をもって償還することとしています。
さらに、その用途は、
- 市町村:間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林整備及びその促進に関する費用」に充てる
- 都道府県:「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てる
こととされています。
なので、全文が間違いです。
つまり、⑤の文章が最も妥当な文章です。
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