2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの16問目の問題です。
問題
【No. 16】 森林の更新方法に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 地拵えには,全面地拵え,筋地拵え,坪地拵えがある。筋地拵え及び坪地拵えは,寒風害からの保護,土壌保全などの効果があるが,刈り残し部の雑草などにより苗が被圧される場合がある。
- 人工更新での植栽本数は樹種によって異なる。スギやヒノキに比べ,カラマツは風雪害から保護するため密植する。一方,太枝を出して樹冠を広げて成長するアカマツ・クロマツや広葉樹は疎植する。
- 人工更新での植栽の時期は,寡雪地域では成長休止期の秋季に行うと,苗木の活着や成長にとって好ましい。積雪地や春に乾燥する地域では雪害や乾燥を避けるため夏季に行う。
- 天然更新を図る場合,択伐では,母樹を残して伐採し,天然下種による更新を図り,その後,段階を踏んで全ての母樹の伐採を行う。一方,傘伐(漸伐)・残伐では,主伐は行わずに少量の伐採を繰り返し,天然下種更新を図る。
- ナラやシイなどの広葉樹において,切り株からの萌芽により更新を図る方法を萌芽更新と呼ぶ。樹齢や個体サイズの増加に従って萌芽能力は向上する。親木の伐採は,成長が最も旺盛で再生力に富む夏季から初秋に行う。
解説
①は妥当な文章です。
地ごしらえ
森林・林業実務必携より
植栽予定地の雑草木の刈払いと伐採枝条の整理を行い、植栽とその後の保育を能率よくする。刈払い方法では、全面的に雑草木を除去する全刈法が多い。寒風害の防止や土壌保全が特に必要な場合、筋刈法、坪刈法なども行われるが、ネズミなどの獣害や雑草木の被圧を生じやすい欠点がある。
このほか、伐採地を開墾して農作物を栽培する木場作、環状はく皮で立枯れさせる巻枯らし法、伐採2〜3年前に雑草木を刈払う先行地ごしらえなどがある。
②の文章ですが、
表4.8「標準的な植栽密度」
樹種 | 植栽本数/ha |
スギ | 3,000〜4,500 |
ヒノキ | 3,000〜6,000 |
アカマツ・クロマツ | 5,000〜7,000 |
カラマツ | 2,000〜3,000 |
トドマツ | 3,000〜5,000 |
よって、間違った文章です。
③の文章ですが、
植栽
森林・林業実務必携より
植栽の時期は早春が多く、積雪地で融雪を待つと植栽時期が遅くなる場合には秋植えをする。
よって、間違った文章です。
④の文章ですが、
よって、間違った文章です。
⑤の文章ですが、
萌芽更新法
伐期に達した立木を伐採して、根株部から萌芽を発生させ後継樹を仕立てる方法である。萌芽の発生は、同じ樹種デアも伐採時季、伐採位置や樹齢などによって異なるので、注意が必要である。萌芽更新を行うためには次の点に留意する。①親木の伐採は成長休止期に行う。②伐採位置はできるだけ低くする。③樹齢が高くなるほど親木の萌芽力は低下する。④萌芽発生後、萌芽整理(整理伐)、を行い、本数調整を図る。一般には2〜3本程度にする。⑤萌芽更新には皆伐萌芽更新と択伐萌芽更新があるが、わが国では耐陰性の強い樹種が少ないので、皆伐萌芽更新が有利である。
森林・林業実務必携より
よって、間違った文章です。
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