2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。
なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分に ついては採点されません。
これは、必須問題13題のうちの4問目の問題です。
問題
気象現象に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 台風は,赤道を挟んで緯度が南北23.5度以内の海上で発生し発達する熱帯低気圧のうち,中心付近の最大風速が32.7m/s以上のものをいう。台風は年間で平均約15個発生し,風速によって,大型,超大型など,三つの階級に分けられる。
- 一般に,温帯低気圧は,寒気と暖気が接する所に発生する。この低気圧は,中心の東側には温暖前線を,西側には寒冷前線を伴う。また,温帯低気圧は偏西風の影響を受け,主に西から東へと移動する。
- 寒冷前線では,寒気が暖気の下に潜り込み,暖気を押し上げながらゆっくりと移動する。通過の際,ゆっくりと気温が下がり,穏やかな雨が広い範囲に降り続く。温暖前線では,暖気が寒気の上を急激に上昇し,寒気を押しながら移動する。強い雨が狭い範囲に降り,通過後,急に気温が上がる。
- 陸地は熱容量が大きいため,日射の吸収による温度上昇が大きく,潜熱で大気を温める。一方, 海水は熱容量が小さいため,温度上昇が小さい。昼間は気温の高い陸上で相対的に高気圧になり, 陸地から海上への陸風が起こる。夜間は海面よりも陸面の温度低下が大きいため,海上から陸上への海風が起こる。
- エルニーニョは,赤道太平洋東部の海面水温が数年に一度,半年以上にわたって広範囲に低下する現象である。その反対に,ラニーニャでは赤道太平洋東部の海面水温が高温になる。エルニーニョの年には,暖水域が太平洋西部に現れ,小笠原高気圧が強められるため,日本付近は猛 暑になりやすく,逆にラニーニャの年には,日本付近は冷夏になりやすい。
解説
①の文章ですが、
また、大きさの階級は風速ではなく風速15m/s以上の半径で分けられます。
大きさの階級 | 風速15m/s以上の半径 |
---|---|
超大型の台風 | ≧ 800km |
大型の台風 | 500 – 800km |
中型(並みの大きさ)の台風 | 300 – 500km |
小型の(小さい)台風 | 200 – 300km |
ごく小さい台風 | < 200 km |
なので、全文が間違いです。
②は妥当な文章です。
③の文章ですが、
なので、寒冷前線と温暖前線についての記述が一部逆になっています。
④の文章ですが、
陸よりも海のほうが熱容量が大きいので、昼間に日射によって加熱が生じると、陸のほうが早く温まります。このため、海よりも陸のほうが高温になります。これに伴って、陸上は低気圧、海上は高気圧になるので、海から陸に向かって風が吹きます。これが海風です。
夜間は、 逆に、陸から海に向かう風が吹き、これを陸風といいます。
なので、海風と陸風についての記述が一部逆になっています。
⑤の文章ですが、
なので、エルニーニョ現象とラニーニャ現象についての記述が逆です。
正答番号
2