2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの39問目の問題です。
問題
【No. 39】 測量に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 角測量にはコンパス測量やトランシット測量などが用いられる。コンパス測量では磁針が必ず真北を指す性質を利用して方位角を測定する。また,トランシット測量は水平角の測定に特化しており,鉛直角が必要な場合は別の手法で計測する。
- スタジア測量とは,測点に立てた標尺を視準し,望遠鏡内に設けられた上下のトラバース線に挟まれた標尺の長さと水平角を読むことによって,間接的に測点の距離と高さを求める測量である。
- 水準測量の方法の一つに間接水準測量があり,この方法ではレベルと標尺を用いて,2点に立てた標尺の読みの差より2点間の高低差を求める。標高が既知の点に立てた標尺を視準することを前視,これから標高を求めようとする点に立てた標尺を視準することを後視という。
- UTM図法*は,地球を東回りに経度 6°の間隔で帯状域に分割し,円柱に投影することで表す図法である。国土地理院の地形図などに利用されている。
- GPSとは,人工衛星から電波を受信して測位するシステムであり,9個以上の衛星からの電波を受信しなければ計測位置を求めることができない。GPSによる測量方法の一つにキネマティック測量があり,この方法では 1 地点における観測値を用いて位置を求める。
* ユニバーサル横メルカトル(Universal Transverse Mercator)図法の略。
解説
①の文章ですが、
コンパスは磁針が北方向を指す性質を利用して測線の方向を測る器械である。
コンパス測量の方法:コンパスを用いて側線の磁方位または磁方位角を測定するには、コンパスの目盛盤の北端を測定方向に向け、そのときの磁針の北端が指しているメモリを読み取る。
森林・林業実務必携より
トランシットはセオドライトとともに、水平角、鉛直角の精密な測定や直線の延長などに用いられる器械である。
森林・林業実務必携より
よって、間違った文章です。
なお、「角測量にはコンパス測量やトランシット測量などが用いられる。」は正しい文章です。
②の文章ですが、
トランシットやレベルの望遠鏡には、十字線のほかにスタジア線(視距線)という上下2本の線が等間隔に刻まれている。測点に立てた標尺を視準して、この2本のスタジア線に挟まれた目盛と高低角を測定することで、その地点までの距離および高低差を求めるのがスタジア測量である。
森林・林業実務必携より
よって、間違った文章です。
③の文章ですが、
後視(B.S.):標高が既知の点に立てた標尺の読み。
森林・林業実務必携より
前視(F.S.):標高が未知な点に立てた標尺の読み。
よって、間違った文章です。
なお、「水準測量の方法の一つに間接水準測量があり,この方法ではレベルと標尺を用いて,2点に立てた標尺の読みの差より2点間の高低差を求める。」は正しい文章です。
④は妥当な文章です。
⑤の文章ですが、
GPSを利用して位置を測定するためには、最低4個の衛生から電波を受信する必要がある。
キネマティック測量:1台の受信機を既知点に設置し、もう1台を移動局としてL1波のみを利用した干渉測位を連続的に行い、移動体の位置を測量する。
森林・林業実務必携より
よって、間違った文章です。
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