2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。
なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。
これは、選択問題「森林生物生産科学」の問題です。
問題
【No. 36】 森林リモートセンシングに関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 衛星リモートセンシングの特徴として,同時広域性と周期性が挙げられる。同時広域性とは,地上調査や航空機からでは同時には観測不可能な大面積を均一な精度で観測し得ることである。周期性とは,衛星が地球を周回することを利用して,同一地点を定期的に観測し得ることである。
- 森林調査に用いられる空中写真は,市町村によって2年ごとに撮影されている。空中写真の重複度(写真の重なり度)は,同一コースの隣り合った写真の重なり(オーバーラップ)が20%,隣接したコース間の重なり(サイドラップ)が40%を標準として撮影されている。
- GIS上での地理情報の表し方には2種類の基本的な型があり,ラスター型,ベクター型という。ラスター型は,対象物を面や線,点で表現する方法である。また,同じ面積を表現する場合,ラスターデータはベクターデータと比較して,データ量は小さくなる。
- 植物の分光反射特性は,①可視光の中では0.5nm付近(緑色)の反射率が低く,0.7nm付近(赤色)の反射率が高い,②可視光よりも近赤外光の反射率が高い,③ 0.7~0.8nm付近の波長帯の反射率の立ち上がりが小さいといった特徴があり,これらの特徴を持つ物体は植物以外では水に限られる。
- 空中写真による樹種判読は,色調や樹冠の形状などを基に行われる。スギやヒノキの色調は灰色から白色で広葉樹に比べると明るく,樹冠は球形となる。マツ類は色調が灰黒色で,樹冠は不整形となる。
解説
①は妥当な文章です。
②の文章ですが、
空中写真は、1961年からおよそ5年間隔で撮影されています。
また、基本的に平地・離島地域は国土地理院が、山岳地域は林野庁が都道府県と分担して撮影しています。
よって間違った文章です。
③の文章ですが、
ベクター型が,対象物を面や線,点で表現する方法です。
また,同じ面積を表現する場合,ベクターデータはラスターデータと比較して,データ量は小さくなります。
よって間違った文章です。
④の文章ですが、
植物の分光反射特性は,①可視域での分光反射率が低く、②近赤外域で分光反射率が高いことです。
特に,主要な植物色素であるクロロフィルの吸収帯である青色光450nmと赤色光680nm付近の波長の光を吸収するため,2つの波長に挟まれる緑色光550nm付近で反射率が少しだけ高くなります。
よって間違った文章です。
⑤の文章ですが、
空中写真でのスギやヒノキの色調は広葉樹に比べると暗くなります。
よって間違った文章です。
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