2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の専門試験【林学】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は全部で40題で、解答時間は3時間です。
これは、40題のうちの33問目の問題です。
問題
【No. 33】 木材の成分と分解に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 木材の主要成分はセルロースとリグニンの二つであり,スギやヒノキなどの主要な国産材では,これらの成分で全体の95%以上を占める。これらは,エーテル,アルコールなどの溶媒で抽出される成分である。
- 樹木の細胞壁のうち,一次壁はテルペン,セルロースなどの多糖類とリグニンを多く含む。二次壁は,セルロースを多く含むが,リグニンを含まない。
- リグニンは,ペクチンの重合により生じた高分子で,親水性であり,細胞壁のフィブリル間や細胞壁を粘着する形で存在する。
- 木材腐朽をもたらす担子菌などの微生物を木材腐朽菌と呼び,白色腐朽菌,褐色腐朽菌,軟腐朽菌の3種類に分類される。白色腐朽菌は,リグニンを含め木材の主要成分を分解することができる。
- 子のう菌や担子菌などの糸状菌によるセルロースの分解には,一般にアミラーゼと総称される加水分解酵素が働き,リグニンの分解には,チロシナーゼ,ラッカーゼなどの加水分解酵素が働く。
解説
①の文章ですが、
木材の主要な化学成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニンであるが、このうち前二者は炭水化物であり、2つを合わせてホロセルロースと呼称されている。含有率は、セルロースが約50%、ヘミセルロースが針葉樹で15〜25%、広葉樹で25〜30%である。リグニンは針葉樹で25〜35%、広葉樹で20〜25%となっている。
森林・林業実務必携より
また、リグニンは水、エーテル、ベンゼンに不溶で、アルコール、ジオキサン、アセトンなどには部分可溶の物質です。
よって、間違った文章です。
②の文章ですが、
細胞壁には、キシランやグルコマンナンなどセルロース以外の多糖類であるへミセルロースが堆積し、さらにリグニンが沈着する。二次壁には、セルロースが45〜50%、ヘミセルロースが15〜30%、リグニンが20〜35%存在する。
森林・林業実務必携より
よって、間違った文章です。
③の文章ですが、
リグニンは、p-ヒドロキシ桂皮アルコール類が酵素による脱水素重合によって炭素-炭素結合またはエーテル結合で結合した無定形の高分子物質で、一定のメトキシル基をもっている。
リグニンは植物体中で細胞同士の接着を通じて物理的強度を付与すると同時に、炭水化物より疎水性が高いために、通導木部組織中で細胞壁から水が拡散して失われるのを防ぐ機能を有している。
森林・林業実務必携より
よって、間違った文章です。
④は妥当な文章です。
⑤の文章ですが、
糸状菌によるセルロースの分解には,一般にセルラーゼと総称される加水分解酵素が働きます。
よって、間違った文章です。
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