2019年度(H31、R1年度)の国家公務員採用総合職試験(大卒程度)の専門試験【森林・自然環境】の多肢選択式試験問題の過去問解説です。
問題は121題あります。
問題は必須問題13題(No.1~No.13)と選択問題12科目108 題(No.14~No.121)に分かれています。選択問題については任意の3科目(27題)を選択し,必須問題と合計して40題を解答します。
なお,選択問題については,3科目を超えて解答しても超えた分については採点されません。
これは、選択問題「森林環境科学」の問題です。
問題
【No. 20】 森林の多面的機能に関する記述A~Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。なお,データは,「平成30年版 森林・林業白書」による。
A.森林の有する多面的機能のうち森林に期待する働きについて,平成27年に農林水産省が調査*1を行ったところ,回答者の割合が高いものは上位から順に,「水資源を蓄える働き」,「住宅用建材や家具,紙などの原材料となる木材を生産する働き」,「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」であった。
B.森林には療養,保養,行楽などの場としての機能があり,「文化機能」と呼ばれている。国有林においては,学校での体験活動や教育活動に積極的に活用するため「木の文化を支える森」を設定している。
C.森林の樹木は,大気中の二酸化炭素を吸収し,炭素を貯蔵することにより,地球温暖化防止に貢献している。このような森林の機能は「地球環境保全機能」と呼ばれており,我が国の平成28年度における森林吸収量*2は約 4,750万CO2トンであった。
D.良好な森林に覆われた流域は,裸地化した流域に比べ洪水流出量が小さく,無降雨時にも安定した流出を示す。このような森林の機能は「水源涵養機能」と呼ばれており,主に,森林が存在することによって形成される保水性・透水性に優れた森林土壌の働きによるものである。
*1 農林水産省「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」(平成27年10月)において,消費者モニターを対象に実施。
*2 京都議定書第8回締約国会合の決定に従い,京都議定書に基づく吸収源活動による排出・吸収量を算定し,計上したもの。
- A,B
- A,C
- B,C
- B,D
- C,D
解説
Aの文章ですが、
農林水産省が平成27(2015)年に実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」において、森林の有する多面的機能のうち森林に期待する働きについて、消費者モニター(*2)に聞いたところ、「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」、「二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き」、「水資源を蓄える働き」と回答した者の割合が高かった。また、「住宅用建材や家具、紙などの原材料となる木材を生産する働き」への期待が再び高まっている(*3)(資料 II -5)。
平成29年度森林・林業白書より
よって、間違った文章です。
Bの文章ですが、
国有林野事業では、森林環境教育の場としての国有林野の利用を進めるため、森林環境教育のプログラムの整備やフィールドの提供等に取り組んでいる。
この一環として、学校等と森林管理署等が協定を結び、国有林野の豊かな森林環境を子供たちに提供する「遊々(ゆうゆう)の森」を設定している。
平成29年度森林・林業白書より
よって、間違った文章です。
C、Dは妥当な文章です。
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